この選手の滑りは本当に安心して見ていられます。
要するにバランスがめっちゃ安定しているのです。
一体どうやったらこんなにうまく滑れるのか?
そのコツは本人にきくのが一番でしょうが、この動画の中で一応説明しています。
でも 技術選前走モーグル西選手 sho20110125 を見る事でもある程度の要素を考える事ができない訳ではありません。
まず、すっげぇ楽そうに滑っている点に注目。
歯を食いしばって必死でやっとやっとで根性だけで滑っている訳ではないのです。
つまり筋肉や体力をそれ程使わなくてもこの程度の距離ならば滑れてしまう感じです。
それは最小限の筋力を使い最も効率の良い無駄のない乗り方をしているからであり、つまり最もバランスが正確に取れる状態を維持しながら滑っているからだと言えそうです。
更にこちらの選手はもっと楽そうに滑っています。
基本的に体軸が斜面に垂直に近くなるような理想的な前傾姿勢を保てていればスキー板を最小限の筋力で回旋できる軸を作れる訳で、それによって素早く方向を変えられればスピードコントロールもし易くなります。
ですから、練習する時には脚部などの筋肉の疲れの度合いを感じ取りながら「何とかもっと楽に滑れないか?」と常に考えて滑る事も1つのやり方です。
それをより一層身にしみて感じ取れるようにするには、できるだけ長い距離のコブ斜面をノンストップで滑り続ける事です。
例えば白馬八方尾根スキー場のリフト最上部=第一ケルン付近から一番下のゴンドラ乗り場までをすべて小回りターンでノンストップで滑るのも良いでしょう。
コースのつなぎ目などのどうしてもスピードが落ちてしまうような所は仕方なく直進せざるを得ませんが、大部分はコブ斜面だけを小回りターンで滑って下まで行けます。
ただし、これは状況によって変わる話でもあり、近年のカービングスキーによる武田竜選手等が行なうようなスラローム競技の滑りに似た切れの鋭い小回りターンでは身体的負荷が大きそうなのであまり長いノンストップは無理があるかも知れません。
さて、似たような例として、私の中学校の時の担任は元運動選手でしたが、その担任が大学時代に散々しごかれた後で「疲れてからが本当の練習だ」と言われ更に練習をさせられたと言っていてました。
もう1つの方法は重い荷物を背負うか人をおんぶして滑る事です。
その分文字通りの重圧が特に脚部にのし掛かりますので、無駄な動きや非合理的なフォームでは疲れが多くなります。
ただし、背中に背負うと重心の位置が普段とは少し変わってしまうはずです。
又、おんぶしていて転倒すると背中の人も巻き添えにしてしまう危険性もあります。
前側=お腹側に重い物を持つ方法もありますが、その場合はストックは邪魔なのでなしにした方が良さそうです。
又、腕が疲れますし、やはり重心の位置も少し変わるはずです。
理想的には鉄製の甲冑か専用のウエイトスーツを着て滑ると良さそうですが、重りを加える練習方法は結局関節などにも無理が掛かったりもしますので短時間で単発的にしかやらない方が無難でしょう。
でも、甲冑滑走イベントは写真や映像の見栄えはいいので話題性はありそうです。
今回の話と方向性の合う説明をしているトレーナーの動画もありました。
これと少し似た話を2022年北京冬季五輪金銀メダリスト小林陵侑選手がテレビで言っています。
ワールドカップ2020-2021シーズン第1~8戦は27位38位15位12位15位13位16位14位で、2021年1月 第 9選でやっと7位そして3月 第23選 遂にヒルサイズ越えビッグジャンプで 1位 となりこう振り返っています。
「多分力(りき)んでたからホントに強く踏み切ろうと言うかそういうイメージだったので・・・ま、そんな事しなくても無駄さえなくせば飛んでくって言う・・・」
力む力まないに関しての説明は別の先生もしていますが、この動画の場合はスキーの動作とは異なる内容が主体です。↓
もう1つオマケで2022年国体スキーGSL(大回転)成年(なるねん)男子C2位の小林晋之介選手について信濃毎日新聞より引用。
~3月に40歳になる小林が2位に食い込んだ。国体の表彰台(3位以上)ぱ初めてといい、「年々上達している。スキーの操作技術を磨いていけば、最小限の力で効率良く滑れる」。~優勝した元ワールドカップ(W杯)代表の武田竜(北海道)との差を1秒14にとどめてゴール。全国中学大会や全国高校大会の出場経験はないが、息長く重ねたレース経験を生かした。(以上、引用終わり)
又、この人も似たような事を言っています。
尚、この開脚ジャンプはこの時にはオマケだった模様です。