数十年前の事ですが、ストック(英語ではpole)の滑走中の握り方について「小指に力を入れて握る」という指導がよく行なわれていました。
やってみましたがストックを突こうとする時に先端を前方に出しにくく全然しっくり来ません。
それで当時のSAJ元デモンストレーターの先生に訊いてみると「こうだよ」と教えてくれたのが、やはり全然違って親指と人差し指で作った輪っかで主に握り小指側はゆるゆるにしている握り方でした。
その先生によると、小回りターンでのストックワークは「リング前、リング前」という意識とリズムで左右のストックの先端を短時間に次々と交互に前方に出すのです。
なので、 小指側をずっと握って固定していては上手くいきません。
特にコブ斜面では尚更です。
モーグル用ストックも小指や薬指に力が入り過ぎないように作られています。
このおっさんスキーヤー、いや、最近の元デモも言っています。↓
こんな誰でもやればすぐわかる事を無視して変な指導がまかり通っていたとは本当に呆れます。
て言うかデモンストレーターもわかっていたんですから。
多分これは普通の滑走中ではなく、登る時やこぐ時に小指側に力を入れるような話だったのかも知れません。
因みに確かドイツかオーストリアの有名なプロかデモンストレーターは、親指でストックのてっぺんを上から押さえて残りの4本の指で握らないと滑れない、と述べている記事をスキー誌で見た事はあります。
個人的には特にコブ斜面の小回りターンの場合は衝撃や揺れが大きくストックが手からはずれて突けなくなって残りの滑りがボロボロになる場合があります。
これはバッジテストやビデオ撮りなどのような「本番」には大失敗になります。
手の指にまでしっかり神経が働かずに一瞬でも握る力が抜けると駄目なのです。
日頃から鉛筆をポロッと落としたりしないよう末端まで気を付けなければいけれません。
「小指側に力を入れると脇が締まる」と言う話もよく聞かれましたが、そんなに完全に連動している訳でもなく、親指に力を入れたっていくらでも脇を閉められるんです。
そもそもスキーの場合は脇を締めなくても良いし、脇だけ締めたらかっこ悪いし。
当然ながら似た話を現在のプロも述べています。
又、親指側か小指側かを別の理論で説明している4スタンス理論もあり、個人的にはある程度までは納得できます。
とにかく、習った事や得た情報は様々であり時には大嘘が紛れていますので、どの説も全面的に信用せず半分位しか受け入れずに少しずつ試してみる方法もあります。