スキー界はある時期からカービングスキー、カービングターンに事実上移行させられました。
「どうせモデルチェンジで購買意欲を煽ろうとしているだけで、その内に又次のモデルチェンジをするのだろう」という私の予想ははずれました。
特にカービングスキーが出始めた当初からアルペンレースのワールドカップなどでカービングスキーでないと勝てなくなったような報道もあり、アマチュアレベルでも短期間に大多数のスキーヤーが乗り換えてしまい、今や幼児のレンタルでさえカービングスキーになってしまいました。
ところで、この動画は現役の女子の世界一に何度もなっているアルペンスキーヤー、ミカエラ・シフリンの滑りです。
世界一なのですからさぞかし完璧なカービングターンをしているのかと思うでしょう。
しかし、25秒から35秒の辺りを見て下さい。
↓
これはカービングターンでしょうか?
両スキーの方向だけを先に変えてから斜めに横滑りしながらポールの真横まで移動し、後半は強いエッジングで前に進んでいるかのように見えますね。
こんなハイスピードの中でターン前半は意識的に両スキーを先に速く回旋させて向きを変えその角度である程度止めたまま、エッジング角度を均等に緩めてずり落ちるように流れながら進んでいる訳です。
これは、スピードが出ていて尚かつ斜度も急で曲がる角度も急な場合は、フルカービングでは間に合わなくなったり身体的に耐え切れなかったり、スッポ抜けたりし易いせいでそうせざるを得ないのかと思います。
それ以前に欧米の冷えてカチンカチンに固まった大会バーンではエッジで雪面を掘るようなカービングは相当やりにくいはずで、ほんのわずかな内傾角度やスネの角度のミスによりコースアウトや転倒につながりそうです。
スラローム(回転競技)でも同様に見えます。↓
もっと明確な映像もあります。
これなんて「ジグザグターン」と呼びたいです。
さて、このような滑り方は以前にスイングアンドグライドと呼ばれていて現在ではセットアンドカットターンと呼ばれているテクニックと類似しているようです。
→ http://kitzbuehel.blog34.fc2.com/?m&no=278
スイングアンドグライドは日本では元ワールドカップレーサーで元SAJ全日本デモンストレーターの森信之選手が多用して広められた模様です。
平成5年刊「森信之A級テクニック入門」 (ノースランド出版) にその解説が掲載されており、こちらでは2021年にそれを購入してみましたが、どうも肝心な部分はわかりにくくしてあるようにも思えました。
最近はスイングアンドグライドというテクニック名称はスキーでは一般的には聞かれなくなっていましたが、実際は存在している訳です。
↓ こちらの元デモンストレーターも動画の中で言及しています。
(スノーボードではよく使われています。)
そして、2020年冬の国体スキー男子GSLで優勝した選手の滑りにもこれに類似するテクニックは普通に使われている事がこの動画からも見て取れます。
59秒の辺りが特に良くわかります。↓
エッジを外して(緩めて)上手く斜めに横流れをする為には絶妙にバランスを取り続けなければならないようで、コーチらしき人が「バランスだぞ」と言っているのが聞こえます。
エッジを外した(緩めた)ような状態では失敗すると胴体が回ってスピンしたりしますので、体幹などの強さや方向のコントロール能力なども重要になりそうです。
これと大体似た説明を含んでいる動画を遅ればせながら2022年10月に見かけました。↓
2022年国体男子GSLでは急斜面に振りの激しいセットがされていてやはりフルカービングでは通過できないと2位の選手も言っています。
レースでなくてもほとんど似ている事をこの先生も言っています。↓
更にこの選手(兼コーチ)によって本格的かつ専門的な解説動画が出ているようですが、 一見エッジを外して(緩めて)上手く斜めに横流れをしているように見えるという事とは少し異なるような内容でした。↓
いずれにせよ、このような条件下でバランスを上手く取る為には、当然ながら止まった状態でも平地でも上手くバランスが取れなければなりません。
当然やっているでしょうけれどスキーヤーは年間を通してバランストレーニングを欠かさず行なう必要はありそうです。
ちなみに、この自転車ドリフトも似ています。
そして、このスケボーの動画の2人目に登場する人なども似たような技を使っています。
ローラーでそれができるとは驚きます。
その前に、道路で時速100km/h超えできるってどういう人達ですか?
スピード違反じゃないんですか!?
ところがこいつらなんて半袖短パンやん。
どうしてこんな危険な事ができるのかああああ。