以前に旧ブログでちょっと触れましたが、体幹トレーニングとバランストレーニングでは共通する運動要領も少しありますが、全体的には別の目的のトレーニングです。
これは極めて当たり前の話ではありますが、一見似ている部分だけを見て混同しているかのような方も見受けられますので、ここで説明させて頂きます。
体幹トレーニングによって鍛えられるのは主に筋肉の強度や耐久力などです。
例えばこの本の目次を見てもそうなっています。
よく言われるインナーマッスルもこれらによって鍛えられるものと思われます。
「体幹バランスメソッド」と表記されていますが、平衡感覚に関わる意味でのバランスについてはほとんど念頭に置かれていないようです。
それを示すのがその004ページにある「また高齢者は、体幹がしっかりしていればバランスを崩して転ぶことがありません。」という記述です。
一方、こちらがこだわるバランストレーニングによって 主として鍛えられるのは モロに平衡感覚であり、それを察知する感知能力や連係する調整能力などです。
つまり、 バランスを取る為の司令塔とコントロール系統 即ち三半規管、脳、運動神経又は神経系統とそれに連動する筋肉のはずです。
地上に脚部で立っている場合の傾き=地球の重力に人間が下へ引っ張られている方向との差などを感知して、極力短時間にそれらを最適な状態に調整する能力などが主体となります。
この先生も「コントロール(の能力)」と言っています。
それら以外の特に筋肉に重点を置いているのが、今までの体幹トレーニングとも言えます。
ですから、もし体幹トレーニングだけをしっかりやっても例えば平均台ではバランスを崩してしまったり、逆にバランストレーニングだけをしっかりやっても格闘技をしたら力負けしてしまったりする訳です。
筋肉という肉だけを鍛えたり増やしたり強くしたりしても駄目という事を、日本屈指のアルペンレーサー佐々木明選手も語ったそうです。
結局は体幹トレーニングとバランストレーニングの両方を同時に行なう体幹バランストレーニングを行なうと有効性が高まるとも言われています。
こちらの主張としては、「ラジオ体操はすぐできても曲芸はすぐにはできない」というフレーズに示す通り、どんなに体幹の筋肉を鍛えてもバランスをしっかり取れる能力が不足していたら運動能力全体としては不足と判定せざるを得ない事に気づいて欲しいのです。
又、単なる娯楽レジャーとしてサイクリングやスキー・スノボや登山、トレイルランニングなどを行なう場合でも、バランス能力が高ければ最少の筋力とカロリー消費料で済み疲労や怪我のリスクを軽減でき、高齢でも続けられる事につながります。
スキーを例に取りますと、うまくバランスが取れない段階では年齢が10~20代でも1本滑るにも相当疲れますが、上達すると70代以上でもスイスイ滑り降りれる場合もあるのです。